絣・織の柄のはなし

琉球絣には600種ほどの柄があります。動植物にちなんだ代表的なものではトゥイグワー(鳥)、ビック―(亀甲)、自然界からはミヂィ・フム(水雲)や、器モノからもミミチキトーニー(取っ手付きエサ箱)など、日常の暮らしで身近にあるものを題材に取り入れられてます。

 

それらの柄は琉球王朝時代、”献上布”として職人が正しく制作するためのお手本帳として、王朝がまとめた図案集「御絵図帳(みえずちょう)」が現代でも柄見本として受け継がれているため、今の琉球絣にも当時と同じ柄が織り込まれいるのです。

↑ ミヂィ・フム(水雲型)、カキジャー(S字フック)

↑ フタイ・ビーマ(フタイは二重、ビーマは駒)

読谷山や八重山諸島が産地として有名なミンサー織。木綿糸を平織りで仕上げていく織物で、五つのマス目と四つのマス目を織り込んだ特徴的な模様は、二つを重ねるとぴったりひとつになる「いつ(五つ)の世(四つ)までも末長く……」という思いが込められていて、琉球王朝時代、婚約の証として女性から愛する男性に贈る風習があったそうです。

↓ 五つのマス目は「イン・ヌ・フィサー(犬の足)」とも呼ばれます。

次々と新しさを求め、簡単に短時間で便利なものこそ進化だと思われている現代。日常から生まれたこれらの素朴な柄たちは、その作業の工程を省略化することもなく、時代の流行に惑わされることもなく、今や手しごとでしか生まれないその実直さが魅力となっています。